高級感
高級感のある表現
私(書家・書道家 伊藤月山)は、筆耕のご注文を受注するようになり様々な「感情・感覚・らしさ」の表現のご注文を頂くことによって勉強させていただき、お客様に感謝しております。
書は、歴史から見てだいぶ様変わりしました。書は芸術だと人は言います。その芸術をアートと言ったり、書き手をアーティストと言ったり、出来上がった作品を個々の判断でブランドロゴと言ったりしてカタカナ文字がだいぶ増え、書のイメージもかなり多様化してきました。特に個性的な作品が目立ち、古典から学んだうえでの独創的に仕上げた作品という書が少なくなったような気がします。また、よく「この書は正統派」という言い方もしますが基準が曖昧になってきました。私への仕事のご依頼の中で高級感表現は人気商品の一つです。高級感表現も、力強い表現や躍動感表現等と同様に、多種多様の手書きの毛筆デザインを掲載致しました。
例えば上記画像の「香西早織」のように格調高く、「華流」のように流麗に、「宵桜」のようにキリリと締まって美しさを加えた文字、「華麗なる私」のような繊細な文字や、「鋭敏」は繊細にして鋭い曲線で、「薫」のように曲線を多用してしなやかに女性っぽく、「はやと」のように筆勢を残し力強く男性的に、「源義経」「鼓動」のように動的に、「道祖神」のように古風に、「ひらのれな」のように一般的に、「竜宮城」のように黒い線の中に白に近い黒があったり、その表現方法は様々です。また、「腰を抜かした・・・」「春は曙・・・」「風薫る季節となり・・・」のように漢字仮名交じりの長文に行書体を取り入れたり、「古城に月冴える」のような絵画的な作品もあります。また、「桜橋」や「秋燕」等は和服に似合い、「徳龍」は高級な飲食店関係に、「百合の香り ―AKARI―」は女性向き商品に、「鯱鉾」「一刻千金」「飛車角」「巌窟王」等は躍動感のある力強いメインタイトルとしてパッケージや看板等に人気があります。高級感と言っても、現代の需要に応じて多様な表現をするように心がけて揮毫致しました。
また他の「感情・感覚・らしさ」の表現と同様に、筆毛の種類・線の種類・墨色・結体・章法・運筆の遅速・楷書体、行書体、隷書体等、様々です。書家、書道家のインスピレーションやイマジネーションによって創られた文字は、どんなに文化が進んでも飽きられないと思っております。
当サイトに掲載の筆文字は、役を演じております。筆文字という個々の役者の監督は、私だと思って書を楽しんでおります。もしかしたら、クライアント様が総監督なのかも知れません。